2026年8⽉29⽇⼣⽅、仙台市⻘葉区の仙台合同庁舎B棟。北側の駐輪場前にある、ごく普通の花壇の前に⽴った。⾃転⾞とバイクが並ぶ駐輪場のすぐ横、カラーコーンと黒⻩のバーに囲まれた⼀⾓である。
その⽇の午前、福島県内の中間貯蔵施設から運ばれた汚染⼟(=除染⼟)――環境省が「復興再⽣⼟」と呼ぶ汚染⼟――約1⽴⽅メートルが、ここに埋められていた。厚さ約20センチの復興再⽣⼟の上に、約20センチの通常の⼟を重ねる。それだけの構造だ。
放射性物質を扱う施設らしい壁も柵もなく、⾒た⽬はどこにでもある花壇と何も変わらない。
最⼤で8000(Bq/kg)の汚染⼟が運び込まれることを想定している場所のはずなのに、こんなものでいいのだろうか。
看板はあったのだが・・・
現場には⼩さな掲⽰板が⽴っていた。⾒出しは「復興再⽣利⽤実施場所」、除染実施者名は「環境省」、連絡先は東京都千代⽥区霞が関の環境省本省。それ以外、何も書かれていない。
「福島県」「除去⼟壌」「放射性物質」「セシウム」――⼟が何であるかを⽰す⾔葉は、どこにもなかった。
調べてみると、制度上は「実施場所である旨」「除染実施者名」「連絡先」の3点さえ記載されていれば事⾜りるという。
汚染⼟の横を通り過ぎる⼈が、「これは福島第一原発事故後の除染によって取り除かれた土で、そこに置いておけば、そもそも人が生活できないレベルの放射能汚染になってしまうため、中間貯蔵施設に運ばれ、そこからここへ運び込まれた」と知る⼿段は、事実上ない。
情報が提供されているなら、除染された汚染土をなぜこの地に運び込むのかという疑問が生じる。
現地の住民に十分な説明がなく、日常的にこの場所を利用する人たちも、何が持ち込まれ、なぜここで使われるのかを知らされていない。それで本当に「理解醸成」と呼べるのだろうか。
理解を得てから進めるのではなく、先に進めて既成事実をつくり、それを後から「理解」してもらう――これが「理解醸成」なのか?
公表からわずか4日の電撃搬入 -住民説明会なしで進んだ「理解醸成」
政府が仙台での利⽤⽅針を明らかにしたのは8⽉25⽇。「福島県内除去⼟壌等の県外最終処分の実現に向けた再⽣利⽤等推進会議」で、復興再⽣⼟(=汚染⼟、除染⼟)の利⽤を順次進めていく⽅針が⽰された。環境省はこの取り組みを「理解醸成」の⼀環に位置づけている。
ところが、具体的な施⼯⽇が公表されたのは、そのわずか3⽇後の28⽇。そして翌29⽇には、福島県内の除染で⽣じた⼟が仙台合同庁舎へ運び込まれた。
⽅針の公表から搬⼊まで、わずか4⽇。施⼯⽇の公表からは、わずか1⽇だった。
今回、事前の住⺠説明会は開かれていない。環境省の担当者は、説明会を開くかどうかについて「個別の事業ごとに判断していくもの」と説明したという。
もちろん、住⺠説明会の開催そのものが法律で義務づけられているわけではない。しかし問題は、かつて環境省⾃⾝が、同種の事業を進めるうえで住⺠の理解を「⽋かせない」と位置づけていたことである。
2022年、所沢市や新宿御苑で除去⼟壌を利⽤する実証事業が計画された際、当時の⻄村明宏環境相は「実施に当たっては、地元の皆様の御理解が⽋かせないものであります」と明⾔している。施⼯時期についても「住⺠の皆様の御理解を得られた上で」と説明していた。
実際、両会場では定員50⼈の住⺠説明会が開かれ、8000(Bq/kg)という基準の根拠から地震時の安全性まで、住⺠側から具体的な質問が投げかけられた。
それが今回の仙台では、その⼿順⾃体がなかった。
政府のロードマップには、「関係者とのコミュニケーション」「安⼼感・納得感の醸成」「社会的受容性の拡⼤・深化」といった⾔葉が並ぶ。各地の庁舎での利⽤事例そのものを、今後の「理解醸成」に活⽤していく⽅針も明記されている。
だとすれば問われるのは、「理解醸成」を掲げながら、なぜ実際に⼟を受け⼊れる地域の住⺠には、事前に質問し、意⾒を述べる場すら設けなかったのかという点である。
搬⼊当⽇には、反対する市⺠が現場に集まった。花⽊則彰仙台市議が撮影した動画には、「前⽇の午後発表した持ち込み 公開すると⾔いながら」「住⺠も県議・市議もいれない」とのテロップが表⽰されている。
説明する前に運び込み、質問の場を設けないまま既成事実をつくる。それをはたして「理解醸成」と呼んでもいいのだろうか。

はたして大地震でも汚染土を封じ込められるのか?
能登半島地震では、道路が引き裂かれ、地⾯そのものが⼤きくずれ、各地で⼤規模な地割れや斜⾯崩壊が発⽣した。
では、同じような巨⼤地震が起きたとき、福島第⼀原発事故による放射能汚染の影響が少ない地域に、⼀般環境中には存在しない最⼤8000(Bq/kg)というとんでもないレベルの放射性物質を含む汚染⼟を、本当にその場にとどめておくことができるのだろうか。
このレベルで汚染された⼟を、これだけ簡易的な状態でここにとどめておくことに、何⼀つ妥当性を感じられない。
元は福島県内で発⽣した汚染⼟であり、安全性が確保されているというのであれば、なぜ元の福島県内ではなく、県外で再利⽤する必要があるのか。
県外で最終処分することが法律で定められているとしても、その前提⾃体が妥当でないのであれば、法改正も検討するべきだと筆者は考える。
参考までに、復興再⽣⼟(=汚染⼟、除染⼟)の上限となる8000(Bq/kg)とは、次のような汚染レベルである。このレベルの汚染⼟が福島県以外の⼀般環境に運び込まれるというのは、さすがにあり得ないのではないだろうか。
周囲の線量率や街の風景等(同日追記)
最後に

福島第一原発の放射能汚染の影響が少ない一般環境の土壌汚染についてはこちらをご参考に。
以上、8月29日に現地取材した内容をもとにした速報レベルの情報です。まずは取り急ぎの公開となります。現在、運営資金が大変厳しい状況にあり、活動の継続が難しくなっております。
これからもさまざまな情報を発信し続けていくため、以下より引き続きお力添えいただけますと幸いです<(_ _)>
めたぼ









