べぐれでねが

-気が向いたらセシウムを検査するブログ-

2020.10撮影)福島第一原発とその周辺を空撮、汚染水タンクの設置状況を可視化してみました

福島第一原発(2018.12月撮影。日付の無い写真についてはすべて2020.10に撮影された最新のものです。画像はすべてクリックすることで拡大できます

10月に入り様々なメディアに掲載されていましたが、福島第一原発の汚染水を海洋放出する事が決定したようです。月内にも関係閣僚会議で最終決定される見込み。

以下はyahooニュースからの引用

東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水について、政府は、放射性物質の濃度を下げた後に海に流して処分する方針を固めた。政府関係者への取材で判明した。月内にも、廃炉・汚染水対策の関係閣僚会議を開いて決定する。風評被害への対策については、今後も継続して議論し詰めていく。

原発の建屋内で連日生じている汚染水には、高濃度の放射性物質が含まれている。このため、東電は多核種除去設備(ALPS、アルプス)に通すなどして、トリチウム以外の濃度を下げた汚染処理水をタンクにためている。しかし、空きタンクを設置できる敷地がなくなりつつあり、政府・東電は汚染処理水をどうやって処分するのか決断を迫られていた。

ただ、放出には新たな設備が必要で、原子力規制委員会の審査や整備に2年程度かかる見通し。海洋放出は、こうした手続きなどを経た後になる。

汚染処理水の処分方法を巡っては、有識者による政府の小委員会が2月、海洋放出と大気放出が現実的な選択肢としつつ「海洋放出が優位」という報告書をまとめていた。政府はその後、地元の業界団体などの意見を集約。海洋放出を求める声がある一方で、「若い後継者に将来を約束するためにも反対」(福島県漁業協同組合連合会)などと海洋放出に難色を示す団体もあった。

海洋放出に当たり、タンクにたまっている汚染処理水が、国の放出基準を超える放射性物質の濃度なら、基準を下回るまでアルプスに通す。その上で、アルプスでは取り除けないトリチウムの濃度を大幅に下げるため、海水で薄める。風評被害は海に流した後にならないと具体的に見通せないことから、対策の議論を続けることにした。【斎藤有香、荒木涼子】

引用ここまで(https://news.yahoo.co.jp/articles/fb062296cc4c77725f774e195ab7f28488008b5eより)

汚染水が保管されているタンク群

 

(2019.05撮影)

上空から見ると小さく見えるタンクですが、周辺の車両と比較すると一つ一つがかなり大きなものであることがわかります。2020.09現在の汚染水の総量は1,230,724m3と公式に発表されています。

タンクの中身ですが

こちらの資料は東京電力の2020年6月時点のデータ(処理水ポータルサイトより)ですが、汚染水の排水基準としては告示濃度比総和1未満とするよう定められており、トリチウムを除くの62種類の核種がその対象とされています。(細かいことを言うと、福一では現在液体廃棄物の排水については告示濃度比総和0.22で運用をしているため、実際の運用と比較しわかりにくいグラフとも言えますがここでは割愛します。関連資料:おしどりポータルサイト

トリチウム以外の62核種の放射性物質については既に一度ALPSでの(一応の)除去処理がされていますが、グラフを見ると処理をしたにも関わらず約7割もの汚染水が処理が不十分(※告示濃度比総和1以上)で排水基準を超過した状態で保管されており、最大では基準値の2万倍近い濃度となっている事がわかります。よくメディアでは処理水と言われていますが、実態としてはトリチウムはそのまま、それ以外の核種についても7割が排水基準を満たしていないという現役バリバリの汚染水であると言えます。今年の1月時点のデータでは、汚染水としてタンクに保管されているトリチウムの総量は約860兆ベクレル、加えて建屋内には1209兆ベクレルが存在すると言われており、トリチウムについては水と構造や性質が似ているために除去することが難しく、除去処理をせずにそのまま希釈し放出されます。参考までに事故前の福島第一原発では年間2.2兆ベクレルの排水を管理目標としていましたが、敷地内に存在する総量はそれを遥かに上回る数値であることがわかります。
※繰り返しになりますが、福一での現在の排水の運用基準は0.22未満ですので1未満であっても必ずしも排水の運用基準を満たすものではありません。

(写真の中程の建物がALPS(多核種除去装置)群)

海洋放出の決定から当然の流れですが、全漁連の岸会長が10月15日に経済産業省大臣へ海洋放出反対の申し入れを行っています。パブリックコメントでも7割の国民が放出に反対、もしくは陸上に保管を求めるものでしたがその意見は無視されてしまいました。

風評被害とはよく言いますが、原発事故がきっかけで実際問題広く食べ物にまで福島第一原発由来の放射性物質が入り込んでしまったことはべぐれでねがの測定でも判明しています。いくつか記憶に残っているものですが、福一からの放射性物質による汚染が認められた食品を紹介しますので、お時間ある方はご覧になってみてください。

【濃縮】2014年 北海道北斗市産 秋鮭(白鮭)【9.5kg】

【濃縮】2016年水揚げ 福井県越前町産 鱈【10kg】

【濃縮】平成28年3月購入 宮城県産 牡蠣【20kg】

最後の宮城の牡蠣からは放射性セシウムだけではなく放射性銀まで検出されてしまっています。

汚染水放出の影響がどの程度出てしまうのかはわかりませんが、全漁連が再び海洋汚染が広がってほしくないと考えるのは当然です。

なぜ海洋放出するのか?

放出の主な理由としては福島第一原発の敷地内でのタンクの設置・保管場所がなくなった為と言われています。

(あくまで東電の主張です)

上記のリンク。おしどりマコ・ケンさんのサイトがとても良く情報がまとまっています。ここまで少々説明が長くなってしまいましたが、本当に原発の敷地内やその周辺にタンクの置き場がない状況なのか?現状では福一敷地内や周辺の詳細についてはなかなか一般の人が目にすることはありません。べぐれでねがではそういった状況を可視化し、広くその情報を公開することで議論を深めていただきたいと考え、10月に実施した原発敷地内や周辺の記録を公開することとしました。

2020.10時点での福島第一原発の周辺の様子(今回のメインコンテンツ)

周辺の状況を是非ご自身の目でご覧になってみてください。かなり精細な空撮データ(4K解像度)をアップしてあります。

 

PCや大画面TVでの視聴が推奨です。歯車マークをクリックして2160p60を選択すると最も精細な4K解像度で見ることができます。

(スマートフォンだと1080p60あたりが最大かもしれません)

映像の大部分が放射線量が高すぎるために人が住むことが難しいとされる帰還困難区域に指定されています。そういった背景も含めご覧になっていただけますと嬉しいです。なお、 撮影は様々な許可を取得の上実施しています。撮影にご協力いただいた沢山の関係者へと感謝の意を表すると共にくれぐれも安易に真似をすることの無いようお願いいたします。

動画をご覧になってみた感想はどうでしたか?

(処理水ポータルサイトより)

 

(中間貯蔵施設公式より)

参考までに上の図は東電発表の敷地の利用状況です。東電いわく、敷地外への搬出や保管については様々な法規制であったり周辺との調整や許認可に時間を要するため難しいとのことですが、原発の周囲には中間貯蔵施設があるものの、まだまだ周囲に空きはあるように見えます。素人目には人が住むことのできない地域のためむしろ空きだらけにも感じられます。

東電がタンクを置けないという福一の北側エリア

ひとつ上の図にある東電の敷地境界線にを写真へと書き込んでみたものがこちらです。こうやって見てみると現時点では結構空いている気が・・・

 

上の図と照らし合わせてみるとどうやらここは土捨場のようですがほとんどごく一部しか使われていません。

 

この辺なんか車両が踏み入れた形跡もあまりなく緑あふれる大自然に還ってしまっています^^;

 

上の写真から少し南側(写真上側)へ移動します。現時点ではこの辺もまだまだ余裕がありそうです。

 

そこから少し海側(東側:写真左側)に寄せた写真がこれです。緑地もまずまずあり、タンクの設置スペースがまったくないということはなさそう。

2020.10.20以下2点追加

いずれも海側からの撮影

 

こちらは東電の処理水ポータルサイトのものですが、一応将来的に活用する予定があるためタンクは置くことが出来ないという言い分のようです。より詳細な情報を知りたい方は処理水ポータルサイトを直接ご覧になってみてください。

お願い

現在測定室の経営状況が大変厳しく、測定室の存続自体が大変難しい状態となってきておりますが、こういったTVでは取り上げられないような真実をこれからも伝え続けようと思っています。情報をどこまで表に出すことができるかは皆さんの力にかかっていますので、活動継続のため、ご支援ご検討の程よろしくお願いいたします(_ _)

(記事はもう少し下につづきます)

クレジットカード(VISA,MASTER)による寄付

1,000円以上の任意の金額での活動支援が出来ます。今後の活動継続のため、ご支援をよろしくお願いいたします。

(全角での入力はエラーになるため、必ず半角でのご入力をお願い致します(_ _))







 

カンパ用口座、毎月の自動引落はコチラ

 

今回の出張も複数名での自腹出張となりました。記事が参考になりましたら活動資金のご支援をお願いいたします(ToT)

敷地外に保管できない理由(東電資料より)

また、ALPS 処理水*の敷地外への搬出は、法令に準拠した移送設備が必要となる他、移送ルートとなる自治体の理解を得る必要がある。具体的には、配管(パイプライン)で移送する場合、配管のほか、当該配管を囲む核物質防護施設(フェンス等)の設置が必要である。また、車両や船舶で移送する場合、最大 4m3の L 型輸送容器を車両や船舶に積載し運搬することになり、所外運搬手続き等が必要になる。なお、排水基準を満たした状態で輸送する場合には、
ALPS 処理水*を数十倍に希釈する必要があり、更に膨大な量を移送することになる一方で、引き続き、移送ルートとなる自治体の理解を得る必要がある他、法令に準拠した移送設備が必要となる。

このように、ALPS 処理水*の敷地外への搬出は、実施に際して、大量の処理水を移送する手段の検討・準備に相当な時間を要するとともに、多岐にわたる関係者との事前調整が必要である。また、福島第一原発の敷地外に新たに敷地を確保し ALPS 処理水*を保管する場合、保管施設を設置する自治体等の理解を得る必要があるほか、放射性物質を扱うことになるため、放射性廃棄物保管施設として、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)に基づく事業許可を得た上で、放射線による障害の防止措置を講じ、同法に基づく保安検査や核物質防護検査等を受ける必要がある。このように、新たに放射性物質の保管施設を設置するには、相応の設備や多岐にわたる事前調整、認可手続きが必要であり、相当な時間を要する。

その上で、敷地の中間貯蔵施設予定地への拡大についての検討も行った。福島第一原発の外側に位置する中間貯蔵施設予定地については、中間貯蔵開始後 30 年以内に、福島県外での最終処分を完了するための必要な措置を講ずることを前提に、国が地元(県・立地2町)に説明の上、福島の復興のため受け入れていただき、用地を取得し、整備を進めている。その際、地権者の皆様に、中間貯蔵施設のために利用させていただくため、土地の提供(地上権の設定を含む)をお願いしている。現在、福島県内の除去土壌等の搬入・処理・中間貯蔵のための用地取得と施設整備を進めているところであるが、特定復興再生拠点区域で発生する除去土壌等も含めて確実に貯蔵ができるように、今後も用地取得・施設整備を進めていく必要がある。このため、福島第一原発の敷地の外側にある中間貯蔵施設予定地を、中間貯蔵施設以外の用途で使用し、福島第一原発の敷地を拡大することは難しいと考えられる。

多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場(第7回)開催の資料より抜粋(2010.10.8)

本日の説明は以上となりますが、公表させていただきました資料を基に、汚染水の今後の取り扱いについての議論が活発化すると幸いです。

(めたぼ)

その他資料など

ご新規さんの方はこちらも是非ご覧になってみてください。車内から記録した帰還困難区域の様子になります。

モフ

明らかに無理なサイズ感ですが、タンク置き場についてもこのくらい頑張ってもらいたいものですね(^_-)-☆

それでは今日はこのへんで

|ω・`)ノマタネー♪☆彡

※応援いただける方は、できれば記事のシェアやリツイートをお願い致します。

(但し、測定結果画像の無断転載・盗用はご遠慮ください)


人気ブログランキング

↑こちらをクリックしていただけると育児ブログランキングが上がる仕組みです(1日一回まで)